首都圏や関西圏の高速道路では、週末のたびに渋滞が起きますね。 一般道の渋滞は、たいてい信号が先頭です。首都高や阪神高速では、主に合流ポイントを先頭に渋滞します。なのに、NEXCO所管都市間高速道路(東名や名神)では、特になにも障害がなさそうなところを先頭に渋滞が発生しています。なぜなのでしょう?
サグ
実は、目に見えない障害があるんです。それがサグです。サグは「窪地」という意味で、下り坂から上り坂に切り替わるポイントのことです。
みなさん、下り坂ではスピードが出過ぎないように、アクセルを少し戻しますよね。そのまま、「サグ」に差し掛かると、一定数のクルマは、下り坂から上り坂に変わったのに気付かずに、そのままのアクセルで走り続けて、スピードは落ちてしまいます。そこに後続車が追いついて、おっとっととばかりにブレーキを踏みます。
ブレーキを踏むと、必要以上にスピードが落ちて、車間距離が広がります。それが原因で、その部分の「交通容量」が下がってしまうんです。交通容量が下がるというのは、パイプで言えば詰まりが生じた状態。これが原因で渋滞が発生し、徐々に成長して、ついには停止してしまうというわけです。
もちろん、パイプの太さに余裕があれば、多少の詰まりでは渋滞は起きません。でも、週末にはパイプいっぱいのクルマが流れます。そういう状態では、喩えれば「小石ひとつ落ちていても渋滞が始まる」のです。
その他の原因
原因は、サグだけではありません。トンネルやインターチェンジ、ジャンクションも原因になります。あるいは、高速道路の路肩に人がいるだけで、渋滞は始まります。普通いないところに人がいると、多くのドライバーは「なんだろう?」と見ますよね。人は、よそ見をする瞬間は無意識にアクセルを戻しています。そんなことでも渋滞は起きてしまうんです。 事故車両は路肩にいるのに、そこを先頭に渋滞することを「見物渋滞」と言いますが、混雑時には、事故だけでなく路肩を歩く人でも、猿でも、あるいは路面に落ちたゴミでも、実にほんのちょっとしたことで渋滞が始まってしまうというわけです。
渋滞を避ける手段
では、高速道路の渋滞を避けることはできるのでしょうか。
…できます。混んでいる時に出掛けなければいいんです。 混んでいるかいないか、出掛けてみないとわからないじゃないか! とおっしゃるかもしれませんが、今は渋滞予報カレンダー(http://www.drivetraffic.jp/map.html?t=p&pmode=cal)という大変便利なものがあって、渋滞はほぼ90パーセントまでは予測できているのです。もちろん、路肩を歩く人や猿は予測できませんが、サグを先頭にした渋滞は決まった場所で発生するので、過去のデータから予測が可能なんです。
これを見れば、いつどの路線が渋滞するのかわかります。それが9割方当たるわけです。近年、天気予報の精度はずいぶん向上してしますが、それと同じくらいの確度で当たります。ですから、これで渋滞が予想されている時を避けて出掛ければいいんです。
なにも、完全に渋滞ゼロの時間帯を狙う必要はありません。それをやると、行楽の意味がなくなることもありますから。最低限渋滞のピークを外すようにするだけでも、かなり効果はあります。
ピークを1時間外す場合、前に外すより後ろに外すことを私は推奨します。前に外すと、渋滞の成長期にぶつかります。成長期には、渋滞はどんどん悪化して行きますから、渋滞もギューギュー圧縮され、同じ渋滞距離でも、所要時間が余計にかかります。ところが、ピーク後は渋滞の衰退期。徐々に状況は改善されていくので、思ったよりも時間がかからずに、目的地まで行けるというわけです。